鬼平先生が愛したたいめいけんの、ナポリタン [洋食]
ナポリタン。
イタリアには存在しない料理なのに、なぜか日本人の間で親しまれてきた。
高校生頃、喫茶店などでよく食べたものだ。
このナポリタンは、「日本橋たいめいけん」の一品。
たいめいけんといえば鬼平先生こと、池波正太郎が贔屓にしていた老舗洋食屋。
デブデブも学生時代、池波正太郎の『むかしの味』を読み、
たいめいけんに通うようになった。
鬼平先生がこの店でナポリタンを食べたかどうか、つまびらかではないが、
きっと食べていたような気がする。
なぜならとても懐かしい味だから。
たいめいけんのナポリタンが懐かしい味なのは、
この店特有のトマトソースにあるような気がする。
スライスした玉ネギやセロリ、ニンジンなどの野菜とベーコンを炒める。
その中に鶏ガラを入れ、鶏のダシを加える。
鶏ガラのダシが効いたソースに強力粉をいれる。
とろみの出たソースに、トマトやトマトピューレ、トマトペーストなどを加え、
煮込んだものが、この店のトマトソースだ。
トマトソースに鶏ガラを加えるイタリア料理のシェフはまずいないだろう。
まして強力粉を加えて、とろみをつける話など聞いたこともない。
しかし、鶏ガラのダシが効き、
とろみがついたナポリタンは、
「この味、昔どこかで食べたことがあるような………」
とついつぶやいてしまう。
なんだかほっとする味わいのナポリタンなのである。